一縷の望みを懸けて

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「チャンスってことは……入部を掛けたデュエルを、もう一度してくれるってことですか?」 即座に意味に気付いて確認をしたのはナノコだ。 その言葉に、ジンがコクリと頷く。 「ああ。ただし、そちらが勝った場合の条件には少し改変を加えさせてもらうがな」 「改変? 何をだい」 次にボクが疑問を投げかけると、ジンが再び口を開く。 「デュエル甲子園が終わるまでの時期限定の入部だ。その上、甲子園以外の部活動に参加するか否かは、自由とさせてもらう」 「何よそれ! ほとんど入部してないようなもんじゃない!」 ジンに向けてサキが文句を言い放ち、直後に何かに気付いたのかニヤリと口角が歪む。 「もしかしてアンタ、本当は自分がデュエル甲子園に出たかっただけなんじゃないの? 他にデュエル仲間がいないから、アタシたちに縋ってきたんじゃないかしらあ?」 弱みに付け込めたと、サキはドヤ顔をしているが、ジンは変わらず涼しい表情のままだ。 「別にデュエル甲子園に出場できるか否かは重要じゃない。俺にとって大事なのは、俺に並び立つのに相応しいデュエリストが現れたかどうかだ。俺に負けたお前に用はない」 「な、何ですってー!!」 ジンに流し目で煽られたサキが、両手を上げて激昂する。 アイがそれを抑えてるけど……相変わらず二人は相性が悪いね。 ボクは流れを元に戻す為に、ジンに話しかける。 「ボクは構わないよ。ジンが一緒にデュエル甲子園に出てくれるならとっても心強いからね」 「そうか。なら、デュエルができる場所──そうだな、部室へ移動するぞ」 ボクの了承を受け取ったジンが、先に部室へ向けて歩いて行った。 それに続いて、ボクたちは彼の後に着いて行ったのだった。
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