新生デュエル部設立!

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私は外灯がほとんどない暗い路地裏にある隠れたバー、『アリエーテ』の扉を押した。 カランカランと扉に付いている鈴が鳴り、「いらっしゃいませ」とバーテンダーが言ってくれる。 「こっちですよ」 私の来店に気付いたカウンター席のスーツ姿の女性が呼んできたので、その隣の丸椅子へと尻を着ける。 「やーごめんね、ちょいと遅れちゃった」 「いえいえ、呼んだのは私ですから」 十分程オーバーしていたことを謝ると、相手は笑顔で許してくれた。 私はその相手のスーツ姿をまじまじと眺める。 「それにしても……このスーツ姿って刺激強くない?」 「そ、そんなこと知りませんっ! それにこれが正装ですから!」 いつボタンが弾けるのか不安な程に布を押し広げているスーツの胸の部分を腕で隠しながら、相手は反論する。 昔から大きかったけど、まさかここまでになるとはねえ。 「で、今日はどうしたの? こんな高そうなお店を奢ってくれるなんて、頼みごとでもあるんしょ。あ、カルーアお願いしまーす」 私は女性に向けて話を促しつつ、バーテンダーにも注文する。 バーテンダーが「かしこまりました」と言ってカクテルを作り始めるのと同時に、返事が返ってきた。 「はい。貴女が適役と思い、お願いしたいんです」 「ほほう、一体何ですかな?」 少しおどける言い方をしつつ、私は軽く口角を上げるのだった。
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