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《閃こう竜》の効果で《シューティング》は《トール》に倒されるけど、ナノコの狙いは守備力2000の《閃こう竜》を貫通攻撃することで《シューティング》を無視してレナのライフポイントを0にすることだったんだ。
「《トール》で《閃こう竜》を攻撃です!」
ナノコが攻撃宣言を行う。
勿論、これが通ればデュエルは勝利だ!
「そうは問屋が卸さないよ! 《閃こう竜》をリリースして《シンクロ・バリアー》を発動。これで私のダメージは0だよんっ」
《シンクロ・バリアー》
通常罠
自分フィールド上に存在するシンクロモンスター1体をリリースして発動する。
次のターンのエンドフェイズ時まで、自分が受ける全てのダメージを0にする。
けれど、ここでレナがダメージ無効化のカードを使い、敗北を回避してきた。
攻撃対象がいなくなったことで、攻撃の仕切り直しが発生するけれど、《シューティング》を攻撃しても破壊もダメージを与えられない以上は意味がない。
「……ターン、エンドです」
決めきれなかったナノコは肩を落とし、ターンを終わらせた。
きっと大丈夫だよナノコ。
《トール》の攻撃力は《シューティング》を上回ってるんだから!
ボクは心の中でそう励ましの言葉を呟いた。
──とその時、部室の入口のドアが開いた。
ミヨちゃんかなと思ったけれど、それは別の人物だった。
「あ、ジン! 来てくれたんだね」
「新原教員に呼び出されてな」
ボクの声に答えたジンはドアを閉めると、すぐ近くの壁に寄り掛かろうとした。
でもそこでナノコたちのデュエルに気付き、そしてレナの姿を見て目を見開いた。
「佐谷浜麗奈……っ!」
「お? よーやく私を知っている人が現れた?」
どうやらジンはレナのことを知っているみたいだ。
サキも聞き覚えはあったみたいだけど、ハッキリとは思いだせないみたいだしね。
「レナはデュエル部のコーチになってくれるらしいんだ。それで実力を確かめる為に今、ナノコとデュエルしてるんだよ」
「コーチ……。なるほどな」
ボクの説明に頷いたジン。
多分、ボクたちがレナのことをよく分かっていないことは伝わったのだろう。
早速、彼女を紹介し始めてくれた。
「佐谷浜麗奈は、数年前にアマチュアのデュエル世界大会に出場している。実力は考えるまでもない」
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