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次の日の放課後、ボクらは昨日と同様に部室に集合していた。
昨日が最後のメンバーであるレナとの顔合わせ、と考えれば今日が本当の部活動初日ってことになるのかな。
「みんな分かってると思うけど、これからが本番よ。デュエル甲子園は一ヶ月後、それまでみっちり鍛えるわよ!」
年長者であるサキが部室の机を勢い良く叩き、士気を高めさせる。
確かに、彼女の言う通りだ。
部員を揃える為に奔走したこれまでの一ヶ月もすごく大変だったけれど、それで終わりじゃないんだ。
デュエル甲子園。デュエルモンスターズの実力を競い合う全国規模の学生大会。
ボクたちはそこに出場するんだから。
やっぱり出るからには、上位を狙いたいもんね。
「うん、じゃあ早速──」
サキに同調し、鞄からデッキケースを取り出そうとした時だった。
コンコンと部室のドアがノックされた。
あれ、おかしいな。今日はレナは来ないし、ミヨちゃんも雑用で職員室に居るって言ってたのに。
ボクたちはドアに視線を向けながら、思い当たらない人物像に首を傾げる。
「ボクが開けるよ」
サキが腰を上げようとしたので、一番ドアに近いボクが彼女を制止させてから立ち上がる。
そして「どうぞ」と促しながら、ドアノブを捻ると……。
「ティル様ーーーっ!」
突然、女の子がボクに向かって飛び込んできた!
低い背丈だけとボクに押し付けてくる圧倒的な柔らかい魅惑の感触、そして特徴的でありとても綺麗に整えられている桃色の髪。
服装こそ記憶と違う花嶋学園のセーラー制服だけど、誰かなのかは一瞬で分かった。
「く、クィン!?」
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