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「沖川ティルを紹介され、儂は信じてみることにした。その結果クィン、お前はこうして自らの意志を儂に言えるようになったわけだ」
「お父様……」
自分を更生させる為に動いてくれた。
その事実にわたくしは熱いものが込み上げるような感じを覚えた。
「これからは自分の進みたい道を進むといい。儂は何も強制しない。だが、お前がしたいことなら、協力しよう」
お父様は優しい笑みを浮かべ、そう言ってくれた。
わたくしは遂に嬉しさが堰を越え、涙を溢れ出させながら頷いた。
「はい! お父様っ!」
………………。
*
クィンが話し終えた時、真っ先に口を開いたのはサキだった。
「理事長、アタシたちを騙してたのね……。とっくにバラしても良かったでしょうに」
「あはは、確かにね」
ボクもそれに同意の声を上げる。
デュエル部の噂問題は既に解決してたから、あれらが一種の演武であったことは教えてくれても良かったハズだ。
「……ですが、お父様の行いが悪意によるものではなかったとしても、わたくしが花嶋学園とティルさんたちにしてしまった罪が消えるわけではありませんわ」
そう語ったクィンは深々を頭を下げた。
「本当に申し訳ありませんでした。約束通り、皆さんの元へ戻ってまいりましたわ。簡単に償える罪でないことは分かっていますが、罪滅ぼしをさせて下さいな」
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