31人が本棚に入れています
本棚に追加
「サキ……」
彼女の裁定に、ボクは心がじんわりと暖かくなるのを感じた。
サキは周りの反応による恥ずかしさを振り払うように慌てて喋り始めてきた。
「あ、アンタを許す為の条件よ! アタシたちと一緒にデュエル甲子園に出場して貢献しなさい。それを約束するなら、デュエル甲子園が終わるまでは仮で許してあげるってこと!」
説明し終えたサキは照れで紅潮している頬を隠すように顔を横に背けつつ、腕を組んで「フン」と鼻を鳴らした。
「……」
クィンは少しの間、呆然とした表情をしていたけれど、
「フフッ」
右手を口に当てて小さく笑った。
「先程の発言、訂正しますわ。サキさんも……優し「すぎ」、ですわね」
そう告げたクィンは柔らかい笑みを浮かべていた。
うん、サキも優しい子だってちゃんと分かってたよ。
頷きながら納得したボクは、クィンに手を差し出した。
「じゃあ改めてこれから宜しくね、クィン」
「ええ。こちらこそ、ですわ。ティル様」
ボクの手を両手で包み込んだクィンは軽くお辞儀をして、そう言ってくれたのだった。
これにより、予定には無かった六人目の部員を手に入れたんだ。
「婚約者としても、これから末永くよろしくお願いしますわ」
…………ん?
最初のコメントを投稿しよう!