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「ちょっ、それどういう意味よ!?」
真っ先に突っかかってきたのは勿論サキだ。
ああ……さっきまで良い雰囲気だったんだけどなあ……。
「あら、先ほどお話ししたではありませんか。お父様がティル様と婚約なさるように仰ったと」
「いや、それは今までのが演技だってネタバラシする為のものじゃ……」
「いえ。お父様は本気ですわ。ティル様こそ、杏花家の継ぐのに相応しい方だと」
クィンはチラチラと熱い視線をボクに向けつつ、そんなことを告げる。
……ボクが?
「うーん……出自も何も分からないボクなんて相応しくないんじゃないかな?」
「たいした問題ではない。それくらいどうとでもなる、とお父様が」
ボクの返しを、即座にズバっと切り裂いてきたクィン。
どうとでもなるって……やっぱスゴいんだね、クィンの家って。
「ティル様との婚約に関しては、確かにお父様から言い伝えられたことではありますが、今こうしてティル様に申し出ているのはわたくし自身の意思なのです」
するとクィンはボクに改めて向き直り、両手で挟むようにボクの両手を握ってきた。
「わたくしはティル様を、本気でお慕いしているのですから」
「「!!??」」
彼女の唐突過ぎる素直な告白に、されたボク自身よりもナノコとサキの方が顔を赤くして驚いていた。
部室に入って来た時の様子から何となくは思っていたけれど、
こんな綺麗で可愛い子に好意を持たれるなんて、ボクも幸運だなあ。![image=502057220.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/502057220.jpg?width=800&format=jpg)
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