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過去を慈しみつつも、気を引き締めるようにボクは未来を見据えた。
「そうだね。……でも、大変なのはこれからもじゃないかな」
「その通りだ。しかし私が提示した条件は「大会の出場」までだ」
ボクの言葉に理事長がそう返してきた。
確かに彼は「人数を揃えて部活を再建し、デュエル甲子園に出場しろ」とまでしか言っていなかった。
この時点で目標を達成したんだ。
つまりデュエル甲子園で適当に初戦敗退してしまっても、ボクの待遇に支障はないことになる。
でも、そんなのは嫌だよね。
「出場するからには、優勝するつもりだよ」
ハッキリと宣言した。
せっかく沢山の人たちとデュエルできるんだから、適当に済ませるなんてつまらないじゃないか。
……それにもしかしたら、ボクのことを知っている人にも会えるかもしれないしね。
「感謝する。是非とも頑張って欲しい。私は立場故に大きく肩入れはしてあげられないが、それでも困ったことが有れば気軽に言ってくれ」
理事長は嬉しそうに語ってきた。
どうして彼がデュエル部に深くこだわっているのかは聞いていないけれど、その笑みからデュエル部のことをどれだけ愛しているのかは伝わってきた。
ボクは「わかったよ」と最後に告げて、理事長室を後にするのだった。
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