本命を迎える前の

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ボクとナノコが三十分かけてカコモンを解いた。 サキ曰く、本来のテストは一時間程度使うらしいんだけど、今回は二人とも一通り解き終えたので終わりにするとのことらしい。 そしてサキとアイが協力して二人の答案を採点していく。 十分後、採点を終えたらしいサキが静かに言葉を呟いた。 「……驚いたわ」 「ん、どうしたの?」 サキはボクの分をやってくれていたハズなので、思わず身を乗り出した。 何かあり得ない間違いでもしちゃったのかな? そう考えているボクに向けて、サキは答案を持ち上げて裏返すことで見せてくれた。 「──98点。見直しで防げそうなケアレスミス一つ除けば満点よ」 「わあ! さすがティル様ですわあっ」 その結果に真っ先にクィンが反応し、ボクを両手をぎゅっと握りしめてきた。 逆にボクは喜ぶより先に、首を傾げてしまった。 「そんなに難しかったかな?」 「さすがにほぼ満点を簡単に取れちゃうほどじゃないよ」 隣に座っているナノコが少しだけ恨めしそうにボクを見ながら答えた。 彼女の手元にはアイが採点を終わらせた「88点」と赤で書かれた答案があった。 「ティルってば授業中はよく、クラスメイトの女の子や新原先生を眺めてボーッとしてるのに……何で私より点数高いの?」 「うーん、どうしてだろうね?」 ボクからしてみれば、特別難しくは感じなかったし、普段の授業も分かってることが多かった。 失った記憶を思い出せない以上分からないことだけど、ボクはもしかしてかなりスゴい教育を受けていたのかな? 「まあとにかく、これでシケンは問題ないよね! デュエルしようデュエル!」 「うーん、ま、そうね。いきなりこれだけ高得点取れるなら心配はいらなかったわね」 思い出せないことは一先ず置いといて、ボクはやりたかったことに思考を戻す。 サキも結果を見て、これ以上の文句はないようだ。 するとそんな時、アイが手を上げた。 「じゃあ私が相手をしてもいいかな?」 「アイが?」 この中で一番可能性が低い人間が申し出たことにボクだけでなく残りの三人も驚いていた。
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