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………………。
『菜ノ子』とカラフルな文字が書かれた札があるドアの前に着いた。
一応礼儀は払う必要性はあると思い、ボクはドアを2回叩いた。
「ナノコ、入るよ」
『ん~~……? ふわぁーい』
意外にも返事が返ってきた。
しかも「はい」って言ってるみたいだし、それはつまりボクの入室の許可が出たという事だ。
そう理解したボクはドアノブを捻り、少しずつ引いていった。
「おぉ!」
次の瞬間、ボクは感嘆の声を上げていた。
もう既にナノコは着替え終えているんだろうと思っていたけれど、
ナノコはまだ着替えている途中だった。
上はまだ肩紐を通していない下着を当てているだけで、
下は寝ぼけていてちゃんと履けていなかったからか、スカートはずり落ちてブラと同じ花柄模様の薄黄色のパンツが丸見え状態のままだ。
「…………?」
すぐにはボクが現在進行形でほぼ下着姿の状態を見られているという事実にすら、寝ぼけていて分かっていなかったらしいナノコも、
「っ!!?」
数秒後には事態を把握して、顔を林檎の様に真っ赤にした。
「…………やぁ。その下着、とても似合ってると思うよ」
対して、ボクがとった行動は「褒めること」だった。
するとナノコはわなわなと震えながら──
「この……」
手元にあった金属製の目覚まし時計を掴んだ。
そしてそのままピッチャーのような完璧な振りかぶり。
「さ、さすがにそれは危な」
「うるさい! このアホスケベェー!!」
代償を受けるつもりはあったけど、さすがに金属製は痛いので宥めようとするが、ナノコは全く聞き入れず、
「あだっ!」
金属製置き時計をボクの頭部に直撃させたのだった。
ナ、ナイスコントロール……。
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