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「学校?」
頭にバッテン印の絆創膏を貼っているボクは、朝食のご飯をフォークですくいながら言った。
「菜ノ子はね。でも私も仕事だから、ティル君にはお留守番させちゃうかなぁ」
もう既に朝食を食べ終えて、リビングからカウンターの向こうのキッチンへと行っているホナミが、ボクの言葉に答えてくれる。
ちなみにナノコは、寝ぼけていたとはいえ自分から入室を許可したという点を真面目に受け止めて、ボクにお咎めなしを告げると膨れっ面のまま朝食を持って自室に戻ってしまった。
にしても、学校か……。
「ボクは行っちゃいけないの?」
「行きたいなら行かせても良いけど……手続きとかが必要だし、しばらくは無理だねー」
ホナミは視線をこちらに向けずに答えてきた。
むぅ……この「ニホン」とか呼ばれてる国は、ボクの『知識』とは異なる事ばかりだから、「学校」もボクの知ってるものとどこが違うのか、という意味で興味があったんだけどなぁ。
ホナミに無理は言わせられない。
だからボクは苦笑をしながら言った。
「じゃ、今日は素直にお留守番するよ。お仕事、頑張ってね」
……………。
「…………」
ホナミとナノコが出掛けた後、ボクはソファーに横になりながら、本棚の小説や漫画などを読んでいだ。
その状態で数時間が経過し、ボクは一つの結論を出した。
「暇すぎるし、散歩でもしようかな」
まだこの街に慣れ切っていないボクは、興味がてらにそう決めて行動を開始した。
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