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「へ?」
突然声を掛けられた女の子は、目を点にしてきた。
まぁそういう反応をされるのは百も承知。
ここでボクに課せられるミッションは、彼女がボロを出さない様に振る舞わせて、この場から逃れる事だ。
その為には……まず、怪しまれない様に近づく事、かな?
「こんな所にいたんだね! 探したよ~」
「……?」
ボクは出来るだけ親しみを込めた話し方で彼女に近付いた。
当然と言えば当然だけど、意味を理解できていない女の子は怪訝の表情をした。
(こう切り出したのは良いものの……この後、何言えばいいんだ!?)
勢いは良いものの、特に策を練らないで来てしまい、ボクは次の手に困ってしまった。
「ああ? 何だ、このモヤシ野郎は。あんたの知り合いか?」
そうこう考えている内に、女の子に執拗に絡んでいた男の一人が、ボクを睨みながら女の子に確認を取った。
この状況はマズい……!
ボクは女の子が作戦に気付いて、「友達」と答えてくれるのを祈った。
けれど……さすがにそれは無理な話だった(当然だけど)。
「知らない……けど?」
「……知り合いでもねぇクセにしゃしゃり出てきてんじゃねーよモヤシィ!!」
「ひぃ!!」
女の子の否定を言葉を聞いた瞬間、男はボクに激昂し、ついひ弱な悲鳴を上げてしまった。
だ、だってスゴい迫力なんだもん!
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