楽園の条件

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「フフッ……ごめんごめん、まさか真面目な目でそう言う人がいるなんて、思っても見なかったから」 そんなの当然じゃないか? とは思ったけど、 女の子が笑顔になってくれたので、ボクは満足した。 「咲」 「ん?」 突然、女の子が謎の単語を発した。 ……サキ? 「アタシの名前よ。坂江咲って言うの」 「あ、なるほど。えっと……ボクはティル」 名前だったのか。 サカエサキ……うん、彼女らしい良い名前だね。 「ティル……やっぱり外国人なのね。ファミリーネームは?」 「あー……えっと」 サキに苗字の事を聞かれ、ボクは困ってしまう。 記憶喪失だから「ティル」以外には何も分からないんだ。 「えっとその……実は」 あまり人には話しづらい事情だけど、サキなら話せそうな気がしてボクは思い切った。 けど次の瞬間、サキが止めてきた。 「待って。話すと長そうだし、立ち話じゃなくて、あそこにでも入りましょう」 ボクの腕を引っ張りながら、彼女は近くのファミレスへと駆け出した。 その時のサキの表情は、何だかとても楽しそうだったのが印象に残った。image=471411675.jpg
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