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ファミレスに入り、店員に席に案内されてボクとサキは向かい合うように座った。
「学校、良いの?」
「ん? ああ、大丈夫」
さっきの男たちに絡まれた時は「学校がある」と断っていたから、お店になんて寄っている暇あるのかな? と疑問に思ったけれど、サキは何てことなく言ってきた。
「アタシは午後からだから。まだ4限目の授業中だろうし、昼休みもあるから時間は余裕あるわよ。空き時間に学食で食べるつもりだったから、ここで済ませても問題ないもの」
サキはそう言うと、テーブルの端に置いてあったメニュー表を手に取って思案を始めた。
──そんな時、ボクのお腹から高めの虫の声が鳴り響いた。
「あ……(そいやボク、お昼食べる為に家に帰ろうとしてたんだっけ)」
お昼食べたいなーっという意思表明代わりに、サキの持ってるメニュー表をチラ見する。
それに気付いたサキはまた楽しそうに笑った。
「フフッ……アピール良いから、頼んでいいわよ」
「いいの?」
願ってもない申し出だけれど、若干の遠慮も含めて確認を取ってみた。
するとサキは相変わらずの笑顔で言ってくれた。
「さっきの、助けてくれたしね。お礼って事で高くないなら構わないわ」
「……そっか。なら素直にご馳走になるね!」
人のご厚意に無駄な遠慮は、逆に失礼になる。
だからありがたく頂く事にした。
サキの笑ってる顔、可愛いな。
ボクはサキの持ってるメニューを眺めるふりをしながら、彼女の笑顔を見ていた。
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