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聞き覚えのある声を頼りに、一つの部屋の扉を開くと、そこには同じ服装をした大量の人たちが揃って席に座っていた。
「誰? あの人?」
「外国人、だよね? 日本語すごい流暢……」
「うっわぁー! イケメン……っ!」
ボクの顔を見て、彼女らが口々に呟くのが聞こえてくる。
……と、そんな集団の中ボクはようやく探していた人物を発見する事ができた。
「ナノコ!」
「……っ!!!」
何故かナノコは大きめの冊子に顔を隠していたけど、髪や雰囲気ですぐに分かった。
ボクがナノコの名前を呼んだのにみんなが反応し、一斉に彼女の方を見た。
「沖川さん、あの金髪知ってるの?」
「ナノちゃん、いつの間にイケメンと知り合いになってるのよ!」
顔を隠していた本を取られ、やはりナノコだった彼女は苦笑いを浮かべた。
「あーいやーえっと……それは……」
ナノコはどうしてか狼狽えながら、質問の返答に困っていた。
ならボクが答えてあげよう。
「ボクはナノコの家に「どうせい」させてもらってるんだ」
「ちょ……っ!!?」
ボクの台詞を聞いた瞬間、ナノコが驚きの大声を上げた。
あれ、合ってるよね?
確か異性の家にお世話になる事をどうせいって言うんじゃなかったっけ?
「同棲?」
「同棲!?」
「ってことはアレか? つまり沖川さんは既に婚約済み……?」
「マジかよ……俺、狙ってたのにぃ!!」
同じ部屋の男女が一斉にざわつき始める。
一部の男の子の言葉からすると、やはりナノコは人気なようだ。可愛いもんね。
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