カードという軌跡

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まぁそんなこんなでお風呂の騒動の件は落ち着き、本来話すべき内容に入った。 「私は沖川(おきかわ)穂波(ほなみ)、この子は菜乃子(なのこ)。私たちは姉妹で、ここに2人で住んでるの」 「……」 お姉さん、もといホナミが妹も含めた紹介もしてくれた。 2人が自己紹介をしてくれたなら、ボクも紹介しなくちゃね。 そう思ったんだけど…… ………… ……… …… 「……あれ?」 真っ白だった。 思い出そうとしても、記憶が真っ白だったんだ。 「ん? 早く君の名前を教えてよー」 ホナミが急かしてくるので、ボクは何とかして捻り出そうとするが…… 「ぁぐっ!!」 針で刺されるような鋭い傷みが頭を襲ってきて、ボクは頭を抱えた。 「ちょ、大丈夫!?」 その自体に不機嫌だったナノコもボクを心配してくれた。 痛みはスグに消えたので、ボクは大丈夫だと手で示した。 「大丈夫って……本当に?」 「うん。一瞬だけだったから」 ボクは姿勢を戻すと、2人にちゃんと伝えた。 「どうやら……ボク、記憶がないみたいなんだ」 「えぇっ!?」 するとナノコは目を見開いて、驚きの表情をした。 「ふーん、そっかぁ……」 けれどホナミは特に驚かずに、うんうんと頷いていた。
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