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「外れた時、ボクはクィンの墓地の枚数と同じだけデッキを墓地に送るよ。ボクのデッキとクィンの墓地は同じ25枚、よって全部墓地に行くね」
うぅ……逆転は失敗した上にデッキもなくなっちゃうなんて……。
私は状況の悪化に絶望した。
「……違う」
でも、坂江先輩は違った。
「違うわ、これは……っ!」
坂江先輩が何を言いたいのか、最初は分からなかったけど状況を再確認する事で私もようやく気付いた。
「デッキが全部墓地に行ったってことは、ティルのデッキにあるドラゴンが墓地に……!」
「ティ、ティルさん、貴方ここまで考えて!!」
杏花さんも気付いたらしく、大声を上げていた。
そっか。普通は《貪欲な壺》ではデッキを圧縮する為にエクストラデッキのモンスターを戻す。
でもティルは敢えてそれを一切しなかった。
──あれはデッキの枚数を杏花さんの墓地の枚数に合わせる為に……!
《デビル・コメディアン》
通常罠
(1):コイントスを1回行い、コインの裏表を当てる。
当たった場合、相手の墓地のカードを全て除外する。
ハズレの場合、相手の墓地のカードの枚数分、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る。
「ボクのデッキにあるドラゴンは16枚。つまり攻撃力は8000ポイントアップ!」
《超魔導剣士ブラック・パラディン》
ATK:4400→12400
モンスターの攻撃力が1万を超えるという異例の数値になる。
これなら、《ヴェノミナーガ》との戦闘で杏花さんのライフは0になる!
すごいよティル!!
「嘘……嘘ですわ! こんな形でわたくしが負けるなんて!! あり得ません! 速攻魔法、《ハーフ・シャット》!」
「無駄だよ、《ブラック・パラディン》の能力で手札を捨てて発動を無効にして破壊できるからね!」
《ハーフ・シャット》
速攻魔法
フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターはこのターン戦闘では破壊されず、攻撃力はこのターンのエンドフェイズ時まで半分になる。
杏花さんが最後の抵抗に出たけど、ティルの場にいるモンスターの効果がそれを阻止できる。
リバースカードも手札も無い杏花さんには、もう止める手段はない。
これで──ティルの勝ち!!
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