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ザッ、ザッ…ストンッ
タタタタタ―――
「ったく、本間に副長も人使いがあらいわ…」
男はようやく仕事が終わり1ヶ月ぶりに我が家に戻るとこだった
ポツ…ポツ、ポツ…
「ん…?」
ザ―――ッ
「雨か…」
雨は全部洗い流してくれるから好きや…
その表情は憂いを帯びていたが酷く儚げで美しかった
男は立ち止まって雨にあたる…
全てを洗い流すように…
すると、空に一筋の光が走るのをみた
なんや、雷か…
だが、いつまでたっても雷の落ちる音がしない
それどころか、一筋の光が走ったと思ったところに沢山の光の筋が集まりだし、まるい…人型のような光の物体を生み出し始めた…
あれは雷ちゃうな…人…か…?せやけど、なんで空におんねん。しかも光っとるし…
すると、上空で光り続けていた物体は徐々に光を失い真っ直ぐ落ちてきた…
その男にむかって…
うわぁっ!なんやこっちくるっ!!
そう思い逃げようとした瞬間、物体はピタッと男の前で止まった
その物体は物ではなく人だった
みたことない服装をしているが、とても容姿が美しい
服装は上の大半は白色の布でつつまれ襟もとから肩甲骨にかけ紺の布が垂れている。そして首から赤い布を結んだ形だ
下は短い紺色の布を腰に巻いたようなもので自分が着ている着物とは違いヒラヒラしている
脹ら脛には紺色のピタッとした布をつけて草履ではなく黒光りしている厚めの箱のようなものを履いている
かなり可笑しい服装だ
だがその容姿は白い肌に、色素の薄い茶髪、ふわりとした暖かい優しい香りのする子で、睫毛は長く、鼻筋はスッとしている。
唇は少し薄めだが綺麗な形をし、自然な桃色。
でも、その優しい雰囲気の中にどこか儚さと凛々しさがあって…
まるで春の日差しのなかに咲く花ような…
服装は変やけど…
めっっっっちゃかわええ!こんな雰囲気の花みたことあるな…なんやったけ…?
男は目の前の女を見つめ顔にかかった髪を耳にかけてやる
体がえらい冷たいな。唇も真っ青や。頬はこんなに赤いんに…こりゃ危ないな
そして花のような女を抱き上げた
雨に濡れ冷たくなった体を優しく、そっと、壊れてしまわぬように…
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