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「俺は真吾。君は……その制服ってうちの近くの?」
真吾くんの言葉を聞いて改めて彼を見る。胸元はあたしのせいで濡れているけど、間違いなく青蘭高校の制服。
「君の名前は?」
「あ、はい、結香です。渡辺結香。」
また見いってしまった自分に気づいた。何でこういう人に見とれているの?
こういう人に、あんなことされたのに?
「結香か。いい名前だね。」
真吾くんは笑顔のままあたしに顔を近づけた。その距離に体が反応して、顔を後ろに下げる。
「何回も死のうとしたんなら、もう生きる意味はないって思ってるんだね?」
「……うん。」
あたしは小さく頷いた。彼は笑顔を崩さない。
「じゃあ、君は俺の道具になってね。」
……え?
目の前にいる人を、見開いた目に映した。
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