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「別にいいだろ?君のこと聞いてあげたんだし。」
「そんな……」
「はい、携帯を出して。」
彼の差し出した手を黙って見つめる。あたしの頭は真っ白になってしまっていた。
信じようとしたあたしが馬鹿だった……
「命令、早く携帯を出して。」
命令らしくない、優しい口調であたしに言う。あたしの体が勝手に動いた。
「登録完了っと。」
携帯を二つ操作して、ピンクの方をあたしに差し出した。反射的に受けとる。
「よし、次の命令。どっか食べいこう。」
あたしの手をつかんで彼は階段を降りていく。あたしは心ここにあらずで、されるがままにされていた。
でも、彼の言葉をゆっくりと思い出す。
どっか食べいく?
今まで、あたしは家族以外で外食なんか行ったことはなかった。
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