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さっきの笑顔があたしに向けられている。また、あのときに戻ってしまった。
だんだんひどくなっていく。なのにあたしは何も言えなかった。
「この事言ったらあんたんとこのばばあ、殺すから。」
制服をボロボロにするのに飽きたその人が、にこやかな笑顔で言った。
お決まりの文句。あたしがお母さんを大切にしていることに漬け込むんだ。
あたしを残して笑い合いながら屋上を後にする彼女たち。あたしは地面に座り込んだまま動けなかった。
しばらくして、あたしの心が呟いた。
もう、いいや。
ゆっくりと、ふらふらと歩き出したあたしは、自分でもどこに行くつもりなのかわからない。
自分でもわからない意思に動かされて、ただ生きる屍のように歩いていた。
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