日の当たらない場所

7/550
前へ
/550ページ
次へ
さっきの笑顔があたしに向けられている。また、あのときに戻ってしまった。 だんだんひどくなっていく。なのにあたしは何も言えなかった。 「この事言ったらあんたんとこのばばあ、殺すから。」 制服をボロボロにするのに飽きたその人が、にこやかな笑顔で言った。 お決まりの文句。あたしがお母さんを大切にしていることに漬け込むんだ。 あたしを残して笑い合いながら屋上を後にする彼女たち。あたしは地面に座り込んだまま動けなかった。 しばらくして、あたしの心が呟いた。 もう、いいや。 ゆっくりと、ふらふらと歩き出したあたしは、自分でもどこに行くつもりなのかわからない。 自分でもわからない意思に動かされて、ただ生きる屍のように歩いていた。
/550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

459人が本棚に入れています
本棚に追加