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気づいたら工事中のビルの前にいた。高校から少し遠いから、自分でもよく歩いたと思う。
あたしがここに来た理由がわかった。静かにビルの階段を上っていく。
もう夕日が沈みかけていた。見えにくい足場を落ちないように上る。
不思議だ、これから落ちようとしているのに。
ビルの一番高いところについた。窓はまだ張られていないから、走っていけば妨げるものはなく体は宙に舞う。
いざとなると、怖い。
だけど、あたしが生きる意味はもう、この世界にはないのかもしれない。
目をつぶってゆっくりと歩き出した。方向は、まぶたを通してからでもわかる明るい光でわかる。
向こうに歩いていけば、あたしは楽になれるんだ……
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