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最初は母親が出てきた
いつもの事だが
最初から子供だけが出てくる事は少ない
この会社に入る前には
想像すらできなかったけど
この手の電話は受験生をもつ親にとっては
珍しい事ではないらしく
またか の壁を突破しても
お宅へ向かうとほとんどの場合
親同伴で話を聞く事になる
この会社に入ってから約一週間は
マニュアルを熟読する事から始まる
現地に行ってからの、どんな話をするか
が書かれたマニュアルである
このタイミングでこの台詞を言い
このタイミングでこの質問をする
まずはその台本を暗記するまで
覚える事が仕事の始まりだった
入会した子供用の教室を兼務するその部屋で
毎朝10時までに出社し
掃除を経てその暗記に取り組む
声を出して役付きが読み上げ
それに続いて復唱する
声が小さいと当然怒られる
間違えても怒られる
つるし上げをくらって一人たたされ
間違えずに読み上げられるまで
何度もやり直しをもらいながらも
最後まで間違えずに言えるようになると
やっと現地デビューができるようになる
たぶん、営業の世界ではよくある光景だと思う
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