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目の前で繰り広げられようとしている光景が信じられなかった。
澤口が石田に犯されようとしている今の光景が。
そして小杉は石田が口走った「あの事」とは何かを今の短時間で考え始めていた。
「何しとんねんっ」
吉田が激情に駆られてか部屋に飛び込む。
彼の存在に気付いていなかった澤口と石田は驚いた様に目を見開いていた。
だが、石田の驚いた表情はすぐに嘲笑じみた物に変わる。
「私が?何かしましたか」
澤口からするりと離れ、吉田に歩み寄る。
「澤口先生を襲おうとしとったやろ!」
吉田は元々気が長い方ではないためか、薄笑いを浮かべてはぐらかす石田に苛立ちを募らせていた。
「それは吉田さんの憶測でしょう?」
勝ち誇った様な石田の物言いに吉田はぐっと息を詰まらせた。
そんな吉田の肩を小杉がそっと掴む。
「それじゃあ澤口先生、また」
右手をヒラヒラと振りながら石田が去って行く。
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