護るために

13/33
前へ
/97ページ
次へ
「何故…来たんですか」 澤口が苦し気に言葉を吐き出す。 「あのままほっといてくれれば…彼も満足したでしょうに」 「澤口先生、あいつに脅されとるんですね?」 小杉が澤口の顔を覗き込む様にして訊ねる。 澤口が答える事はなかったが、その沈黙が暗に事実だと肯定している様だった。 「もう、ほっといて下さい。 これ以上関わればあいつはきっとあなた達を潰しにかかります」 澤口はそう言い、倉庫を出ていこうとしたが、入り口に手をかけたところでそっと此方を振り返った。 「…助けて下さって…ありがとうございました」 澤口はその言葉を最後に倉庫を出ていった。
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加