護るために

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精一杯の矜持を持ち彼を睨み付ける。 だが男は顎に指を添えたまま澤口を見つめていた。 「…何がお望みです」 澤口がため息混じりに問いかける。 男は胸の前で両手を合わせた。 人当たりのいい笑顔だが、今の澤口には嫌悪の対象でしかなかった。 「簡単です。 私と寝て下さい」 「…えっ?」 金銭を要求されるとばかり思っていた澤口は、あまりに見当外れな彼の言葉に言葉を失ってしまった。
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