護るために

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黒迷の二人は休憩中の澤口に思い切って声をかけてみた。 「澤口先生、ホンマに大丈夫ですか?」 小杉の「大丈夫」にはいろいろな意味があったのだが、それを澤口がどう解釈したのかは理解しがたい。 だが、澤口はまるで癖になってしまったかの様な弱々しい笑顔を二人に返した。 「大丈夫ですよ?」 「でも、最近顔色悪いしまた痩せたんちゃいます?」 吉田が小杉に続いて訊ねる。 澤口が何事か答えようとした時、 「黒迷さん、澤口先生」 ディレクターであるあの男が三人に声をかけてきた。 瞬間、澤口がびくりと身体を震わせたのを小杉は見逃さなかった。
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