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俺はちゃんとこの目でその光景を見ていたんだ。
それで、取ったチョコを大事そうに抱えながらゲーセンから出ていく下田の姿もちゃんと見たんだ。
だから、下田が言った事が嘘だって。
ちゃんと分かる。
…何で。
何でそんな嘘をつく必要なんてあるのだろうか。
そして、何であんなに苦労して取ったチョコを俺にくれたのだろうか。
まさか。
「俺が好き、とか?」
好きな子にあげるチョコとか?
お店で買うのは恥ずかしいからここで取るみたいな、なんて。
昨日言っていた祐太を思い出すけれども。
それは、ありえない。
第一、下田も俺も男で、下田と俺の接点だって同じクラスって事しかない。
下田が俺を好きになるようなことはないだろう。
でも。
下田が俺を好きなのかもしれないって思うと、もやもやが晴れて、嬉しくなるのはなぜだろう。
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