第一章

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そういうワケで、翌日だ。 俺はいつも通り通学路を歩きながら、後悔の溜め息を今日も漏らす。 まだ春だから良かったものの、夏とかになるとマジでヤバいのではないか? 朝っぱらから汗をかくなんて、出来ればというか絶対に避けたいだろう。朝練とかは仕方ないとしてな。 学校につくと、とりあえず教室に向かうのは当然だろう。 しかし、俺はまず職員室に向かっていた。なぜそんなところに向かっているのかという質問に対しての答えは、教室が開いていなかったからだ。 確かに今日は寝覚めが良く、スムーズに朝の一連の動作が済んで、結果いつもより少しばかり早く学校にはついた。 それでも十分を過ぎたくらいなんだから、何人かは登校していてもいいじゃないか。 一人も登校していないのは明らかにおかしいだろう。 そんな愚痴をこぼさずに体内で適当に処理しながら、カギを持って教室に戻る。 教室の前には、数人のクラスメートがいた。誰もカギを取りに行こうとしていないところに、少し怒りを覚えたかと言われると……覚えた。 ありがとー、とか明らかに心にも思っていないようなセリフを言いながら、カギを持ってきた俺よりも先に教室に入る女子。 もちろん、怒りを覚えた。今度は確信を持って言える。 俺はイラッとした。 まあだからといって、害を与えるわけではない。ケンカなんか出来ないし、ましてや相手は女子だから。
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