第一章

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時間が経つのと比例するように、教室内にクラスメートが増えていく。 それに伴い、静まり返っていた教室は騒がしくなっていく。 「ぐう」 「ていやっ!!」 びしっ!! と、頭に何かしらの衝撃が走る。理解するのに少しばかりのタイムラグが生じたが、理解した。 どうやら、誰かに頭をチョップされたらしい。 誰がやったのかなんて、もちろん俯いている俺には分かるはずもない。 こういう時に、チョップを適当に流してその行動をスルーするのは俺くらいだろうか。 びしっ、びしびしっ!! 「……ぐう」 俺は小学生の頃から怒らない人間として有名ではなかったものの、しかしそういうイメージで通っていた。 反応したり、怒ってケンカしたりするのが面倒くさかっただけなんだが、それを察されることはなかった。 ただ、温厚な子なんだと思われていただけだった。 だからといって、イジメとかに合っていたわけでもない。 普通に友達もいたし、普通に遊んだりもした。 いや、何が言いたいかと言うと、俺はここでチョップに反応して面倒なことに遭遇したくないのだ。 なにせ、犯人の目星くらいはついているし。今現在で朝っぱらから俺にこんなことをしてくる奴は、一人しか思い浮かばない。
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