プロローグ

3/4
前へ
/130ページ
次へ
そんな後悔を跳ね返すような出来事が待っていたのかと言うと、そうでもない。 校長の話がメチャクチャいい話だったわけでもなく、ただお約束のごとくつまらない話を長々と満足げな顔をしながら話されたし。 担任の教師が超美人な女の先生だったわけでもない。普通にどこにでもいるような、平凡な男の先生だった。 隣の席が可愛い女の子で、何かキッカケがあって仲良くなった……なんてことはもちろんない。 隣は確かに女子ではあったが、俺なんて存在をまるで無視して友達と喋っている。 いや、別に話しかけて仲良くなりたかったわけでもないからいいんだけど。 とにかく、学校の位置を含めいろいろなことを挽回してくれるどころか、俺のやる気は着々と下がっていた。 「時間も余ったし、自己紹介でもしてもらおうかなー」 初日に授業があるなんてことはなく、配布物を配り終わるとやることはなくなった。 しかし、帰宅時間になるまでは授業を終わるわけにはいかない。 結果、初日の時間潰しには妥当な自己紹介をすることになってしまった。 なるべく目立つことを避けてきた俺にとって、一クラス三十人以上いる前でのスピーチなんて苦手でしかない。 しかし、やらなくてはならないのも理解できる。仕方ないと自分に言い聞かせて、自分の順番を待つ。 中学はどこ出身だ。趣味はなんだ。得意な科目苦手な科目はなんだ。 そんなありきたりな自己紹介をする生徒もいれば、好きな女の子のタイプだとか最近のマイブームだとか、そんな珍しい自己紹介をする生徒もいた。
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

141人が本棚に入れています
本棚に追加