第一章

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自分の席を確認し終えたにも関わらず、紙の前で騒ぎ続ける奴。 そういうのが、俺は嫌いなんだ。自己中心的というか、なんというか。いや、確かに人間というのは自分のことを一番に考えているさ。 だけど、その中でどれだけそれを抑えることが出来るのかが重要なんじゃないのか? いや、これは俺の考えに過ぎないので、特に押し付けるつもりもない。 だが、確かにそうだなと同感してくれれば有り難いもんだ。 そうこうしているうちに、俺は自分の席の確認を終えた。 どうやら、この世には神も仏も存在しているらしい。 ありがとう、神様。俺はあなたを信じて良かった。 俺の席は、奇跡的に窓際一番後ろの──つまりは念願の席に座ることが出来たのだ。 多分、俺が小さくガッツポーズを決めたことは誰にも見られていないだろう。 ま、見られていたから何なんだという話ではあるが、なんか恥ずかしいから見られたくはない。 やはりというか何というか、クラス内は騒がしく、静かになるまでにだいぶ時間がかかった。 「……」 次の授業は、HRと書いてホームルームだ。また別に面白くもない話を長々とされるに違いない。 「…………」 俺は溜め息混じりに横を見た。というか、状況的には目を逸らしたことになるのかな。 実は、俺の前の席のクラスメート(女子)が、さっきからずっと俺の方を見てきていた。 というか、そのクラスメート(女子)は、自己紹介の時に少し印象に残っているあいつ──綾瀬川姫乃だった。 「……なんだ?」 俺は横目で綾瀬川を見ながら、心底無愛想に言った。
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