カグ

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カグ

      雨の匂いを嗅いだ 湿った感触に生温い優しさ   土の匂いを嗅いだ 濡れた肌に差し出された水滴   雲の匂いを嗅いだ 憐れな中身にむせ返る希望       明日の匂いを嗅いだ 吐き出した願いと叫ぶ良心     眼の見えない僕だけが感じる 不思議な不思議な 物 の匂い   だけど君の匂いを嗅ぐ勇気は   僕に到底ありゃしないよ。      
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