0人が本棚に入れています
本棚に追加
ところかわって、玉座の間。
壇上に設えられた玉座の側。
女王は入り口を背に玉座を見下ろしています。
タイトな黒いドレスから覗くほっそりとした腕は白く、儚くも感じられます。
豪奢な装飾の施された、ずっしりと貫禄を漂わせる玉座を見つめる女王の漆黒の瞳からは、何の感情も、生気も、感じられません。
何を考えているのか、何を感じているのか。
はたまた、何も考えていないのか感じてもいないのか。
女王を見ていて理解出来る者はいるのでしょうか。
ふと、何も湛えることもない瞳が閉じられました。
その後ろで刃が妖しく光る。
女王は俯いて閉じた瞳を開き、流れるように後ろを振り返りました。
「.....覚悟ぉぉぉおおっ!」
黒いローブが宙に舞いました。
黒いローブを身に纏った者の剣が振り下ろされ、女王の首を狙い、襲い掛かります。
獲物を狩る獣のように。
殺気を纏った剣は流れるように動き、風を作る。
玉座の間の空気が動く。
「...っ!」
侵入者の歯ぎしりの音を最後に、玉座の間に再び静寂が訪れました。
女王の目は黒いローブの侵入者の目を捕らえていました。
空気は止まり、緊張が走る。
「また、あなたなの?」
刃は女王の首に触れるか触れないかのところで止まっています。
女王は無傷でした。
女王は、相手のフードに手をかけました。
パサリとフードは後ろに流れ、中に隠してあったウェーブのかかった長い金の髪が現れました。
最初のコメントを投稿しよう!