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彼女と出逢ったのは面接の時だ。
スラリとした高身長に、白い肌が印象的だった。
こんな仕事をする風には思えないくらいに純粋な瞳をしていた。
面接は俺の車の中ですることになった。
柔らかな受け答えや話す姿勢は最近の若い子にはなかなか出来ない様な落ち着きが見えて、本当に19歳かと疑う位だ。
「相沢―…」
「サチ、です。倖せって書いて、サチ。」
「へー、いい名前じゃん」
そう言うと彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「なんでデリ嬢になろうと思ったの?昼間もバイトしてるんでしょ?」
「別にバイトだけで生計は立てられるんですが、」
彼女は言いづらそうにうつむいた。
独り暮らし、という言葉を聞いてはいたが、どうも引っ掛かる。
それならバイトをかけもちすればいい事だし、それよりも風俗で働こうだなんてなかなか思えないはずだ。
「自信が、なくて」
「え?」
「私、自分に自信がなくて、それで友達に進められて、考えてた時ポストにこのお店の求人が入ってて、」
さっきの喋り方とは違う、不安に満ちた言葉遣いでぽつぽつと話してくれた。
―自信、か。
顔も悪い訳じゃない。化粧も濃い訳じゃない。服装も落ち着いた白いロングスカート。
こう言ってはなんだが、本当に普通の女の子といった雰囲気だ。
「よし、わかった。採用するよ」
「ほ、ほんとうですかっ」
「うん。珍しい理由だったけど、別にいいんじゃない?みんな色んな理由を持ってる」
不意に頭を撫でてしまった。
純粋で無垢な雰囲気に飲まれてしまった様だ。
けれど彼女は嫌がる様子もなく、頬を赤くさせながらふんわりと微笑んだ。
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