4人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふわー…広っ!」
「そりゃ、ラブホですから」
彼女は部屋に放された犬みたいにはしゃいでいる。なんというか、連れてきてよかったと思える。
ベッドに転がったり設備に感動したり。
「お風呂すごーい…こんな広くてどうするんですかね」
「風呂でヤるんじゃない?」
「…っ、そ、そうですよね…!」
デリ嬢としての流れを説明しながら部屋を案内する。こんなことは初めてだ。他の子達はラブホの構造を知ってるから、口頭で説明するだけで済む。
「…とまぁ、こんなかんじかな…って、聞いてる?」
「テレビおっきーです!」
「付けてみたら?」
リモコンの電源ボタンを押すと、その大きな画面に写ったのはAV
彼女は座ったまま硬直している。
「いい機会だし、勉強しなよ」
「べんきょうって…!こんなの見てらんないですよ!!」
「そう?講習とかもあるし。まぁ俺達相手じゃなくてそういう業者だけどね。やり方わかんなかったら言ってよ。業者に頼むから」
「は…はひ…」
顔を真っ赤にして慌てる彼女はすごく可愛い。
最近のスレた女にはない純朴さ。これは売りになる。
「名前、どうする?」
「なまえですか…」
「本名は出来ないしね、なんか付けたい名前とかある?」
「うーー…ん…」
「ニナ、とか」
「ニナ?いいけど」
「前に飼ってた猫の名前なんです」
「じゃあニナね。ニナちゃん。よろしくね」
「はい!よろしくです!」
出勤日は明日。初日。
彼女はどこまでいけるのか、
そして
彼女はこのままでいれるのか。
とても興味が湧いた。
最初のコメントを投稿しよう!