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そもそも何故、世間では夏休みである八月に学校へ向かっているのかというと…
「…ああ、もう少し真面目に勉強しとけば良かった…」
学生服に身を包んだ黒髪の男性は、そううなだれるように発した。
そして小さくため息を吐いて、それが気合いの呼吸とばかりに階段に足を乗せていく。
頬を伝う汗。
照りつける太陽の視線を背中に受けながら、黙々と登る。
丁度階段の中腹あたりに差し掛かった時に頭の上の方から声が飛んできた。
「うぃーす!」
元気のある女の声。
息を切らして、視線だけを上…階段の先に移すとそこには、
「架神誠一郎(かがみ せいいちろう)ほらほら!あと少しだよっ。頑張って。」
と、応援なのか声が響いた。
「はぁはぁ…フルネームで呼ぶなよって…いつも、言ってる…だろ?」
息切れ切れで何とか声を振り絞って答える。
短い短髪で茶髪の女性。
架神と同じく学校の制服を着て、何故か右手には古い分厚い本を持っている。
「お、もうゴールは近いゾっ」
そう声を上げて、架神が登ってくるのを声を出しながら待っていた。
そして…
「…ああ、ガチでキツいわ…」
そう漏らして少しだけ息を整えてから、声を出した。
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