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一日、二日が経った。
その間も、ヤチヨが転校してからとの関係が変わることはなかった。
関係と言える程の接触も無く、会話も無く、それ以後屋上で食事中に現れることも無かった。
未だにクラスで話をしている光景を見ることがない。
「なんとかならないかなぁ…」
知らず呟きが漏れる。
「気になる…?」
「……」
アユムの言葉に二の句が告げなくなる。
「何を言っておりますか!?
全くもって度しがたい勘違いですな!?」
「全く分かりやす過ぎる照れ隠しですな、ハハッ♪
いやはや、これほど可愛らしいコウ殿は、今生初でしょうな」
ぬっと、どこからともなく現れたユカナは、ホホホと口に手をあてながら現れた。
「どこから現れた!?」
「どこからとはひどいですな、アユ殿。
普通にコウ殿の机の引き出しからですぞ」
「ド●えもんか!!」
はっはっはっと笑いながら、どこから取り出したのか扇子で扇ぎながらコウへと向きながら、
「恋煩いとはコウ殿も大人の階段を一段登ってしまったのですなぁ」
「恋をしてるのか。
これが恋…。
正直、他人を気にしてる自分が気持ち悪いことこの上ないのだが」
「初めての恋の感想がそれなら、お前の人生八割損してるぞ」
はぁ~あ、とため息をつきながら横目でコウを流し見るアユム。
「ならアユは一生を人の幸せの半分しか得られない悲しい性なんだね」
「ちょい待ち。
俺にだっていつか春はくる予定だ!」
今はアユムとユカナの三人の関係が楽なものだとしりつつ、恋い焦がれる気持ちは抑えられずに学校での日々を過ごした。
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