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ヒクッ…。
(ヒクッ?)
何が起こったのか、初めは理解出来なかった。
ポロポロとヤチヨの頬を伝う雫はやがて堰をきったように流れ出始めた。
ヤチヨ自身も気づいていなかったのか、頬を触れて驚き袖で顔を拭った。
「やっ…ごめん」
他に何も言えなかった。
彼女はグスッと一度だけ鼻をすすると後は何事もなかったように再びグラウンドを見つめ、食事を再開した。
コウは、後ろからアユムに肩を叩かれるまでその場でじっとして動けなかった。
「行こう…」
その言葉も頭で理解できているかもあやふやな頷きを返して、アユム、ユカナと共に、ヤチヨを屋上に残して教室へと戻って行った。
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