#.26 白日のもとに

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  『20XX年 12月21日。  数ヶ月ほど前から屋敷に出入りしている男。明らかに日本人ではない。  この計画は、もう外と通じてしまったのだろうか。  このことを報告したが、本部は何も言ってこない』 『この実験はどこへ向かうのか?  いつか我々は、この報いを受けるだろう。  願わくば彼らの未来に光あらんことを――』  内容はそこで途切れていた。  全てに目を通したところで、瞬矢の脳裏に、先ほど記述されていた丸印に『外』という単語がよぎる。  改めて瞬矢は思う。間違った形かもしれないが、少なくとも初めは『人』として造り出され、愛情を向けようとしてくれていた。 〈そうだろ? ……刹那〉  届くかどうか分からない。だが眠り続ける刹那に向けて、そっと思念を送った。  一瞬だが、刹那の表情に穏やかなものが窺えたのは気のせいだろうか。  よもやそれは、窓辺から差し込む(うらら)かな陽気のせいなのかもしれない。  窓辺から吹き込むそよ風にカーテンが揺らぎ、瞬矢は晴れ渡った空へと視線を送る。窓の外では、季節外れの黒い揚羽蝶がひらりひらりと宙を游ぐ。 「ほんと、いい天気だ……」  
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