#.26 白日のもとに

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   ――20XX年 4月3日。午後4時05分。  今年も公園の桜は、青空のもと薄紅色の綺麗な花を咲かせている。見頃にはまだ少々早いが、恐らくこの桜を見に来たであろう人の姿もちらほら見られる。  数歩手前を歩く茜は、あの頃と同じ太陽のような笑顔。 「そういえばさ――」  不意に茜が、歩む速度を緩め切り出した。 「んっ?」  間の抜けた返答を合図に、茜はくるりと振り返る。 「瞬矢言ったよね?」  これまで彼女にかけた言葉なら、良し悪しを含め、沢山ある。さて、なんのことかと視線を宙に游がせしばし思考を巡らせていると、 「ほら! 瞬矢が私を助けてくれたあの時……」  当時のいくつかの記憶が呼び起こされ、途端に耳の辺りまで熱を帯びるのが分かった。 「さぁ?」  だがすぐさまそっぽを向き、忘れたとばかりに素っ惚ける。鼻先にかかる黒髪が、わずかに春の気候を孕んだ柔らかな風にそよぐ。  本当は覚えていた。否――忘れようはずがない、あの時自身が彼女に向けて告げた想いを。 「もっぺん、言ってよ」  
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