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深い深い森の奥に、開けた草原に広がる黄色いお花畑。そこにポツンと佇む赤い屋根をしたお家がありました。そこに1匹の白いウサギが住んでいるのですが、どうやら皆さんが知っているような外見とは少し違うようですね。
いつも深々とニット帽を被ったそのウサギには、大切な、大切な耳がありません。どうして耳がないのかと言いますと、それは耳なしウサギにも分らないようで。
ただ分っているとすれば、寂しい森の中で、寂しさで死んでしまうはずのウサギなのですが、耳なしウサギは独りっきりで暮らしている事だけです。勿論、友達なんて出来た事もありませんでした。
けれども、耳なしウサギは寂しくなんてありません。何故なら――耳なしウサギには心と言う物がないからです。
心が欠けている耳なしウサギ。だから耳なしウサギは、寂しいとも、嬉しいとも感じることがありませんでした。
お日様が昇る頃に目が覚めて、沈む頃には夢の中に。そんな変わらない毎日を過ごしていた耳なしウサギは、気が付くと嬉しい、悲しい、楽しいを感じる心をなくしてしまったのです。
お日様の光で目が覚めた耳なしウサギ。なんとなく、ボ~っといつもの様に散歩をしていた時のお話。森の中でただボンヤリと毎日を過ごしていた、そんなある日。
ある日、耳なしウサギは、森の中を歩いていたのですが、それはなんだか不思議な日でした。
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