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私はずっと追いかけられていた。
終わりの見えない螺旋階段で、得体の知れない何かに。
上に昇ればいいのか、下に降れば良いのかも分からず、ただ、ひたすらにグルグルと上り降りを繰り返し、逃げ続けていた。
もう自分一人では歩けない状態になっていることが分かっていても、必死に逃げ続けた。
気付けば足が動かなくなっていた。
それでも、逃げることを止めずに、階段に這いつくばって、次は腕を使って身体を引きずって上り降りを繰り返し続けた。
まるで、抜け出せない螺旋階段という名のステージの上で踊らされ続けている呪われたマリオネットのように…
これは喜劇なのか悲劇なのか。
そんなこと、もうどうでもよかった。
とにかく、幕が降りれば、この劇は終わる。
そのことだけを信じて、終演だけを望み続けた。
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