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鬱陶しい夏が来た。 外は熱気と蝉の鳴き声、それに子供のはしゃぐ声。 歩道には人々が溢れ、すれ違っては舌打ちの嵐。 恋人同士で手を繋いで、ピンク色のオーラを醸し出している。 爆発すればいいのに。 そんなことを思いつつ私、尼崎美沙は人々の流れに逆らいつつ学校へ向かっていた。 髪は人とぶつかり合いボサボサになり、制服はヨレヨレ。 お気に入りだったキーホルダーはどこかに落としてしまったのか。 チェーンだけが虚しく残り、私はチェーンを外した。 「はぁ……」 最悪。 あのキーホルダーは唯一私の親友に貰ったものなのに。 ま、もういないけど。 死んだの。私が… ……殺したんだ。
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