恋愛マリオネット

夏

水口 奈那子は、クラスにおいて、いわゆる優等生という立ち位置を置かれていた──
当然のようにテストの成績優秀でスポーツ万能、全校朝会や全校集会でさえ、何かしら賞状が受容され、生徒代表として何かしら発表していた。
奈那子とは中学の時からの同じクラスで、高校でも一年のときまで
同じクラスだったけれど、私は奈那子が独りで居るところは見たことがない。いつも誰かしらと喋っていて、いつも誰かしらに話し掛けられる。遅刻や早退をしたところも見たことがないし、まさに優等生と言う言葉を人にしたようなものだ。しかし、優等生と言っても、そこにガリ勉や堅苦しいイメージは皆無だ。脚は程よい肉付きで、スラッと長く、胸は程よい大きさで、モデルのような顔立ち。髪は鮮やかな黒でいつもポニーテイルにしていた。彼女の存在は、それはもう儚げで、その所為だろう、男子の一部では深窓の令嬢などと、話し半分、冗談半分に囁かれたりもする。まことに美しいと言ってもいい。確かにその言葉の雰囲気は、奈那子に相応しいように、私にも思われた。