71人が本棚に入れています
本棚に追加
いつものように廊下で話す。
「蒼花、説明しなさい」
「はい」
わたしはちょっとずつ話し始めた。
「わたしと柏原の家が近かったの。
だから柏原が忙しくて、ご飯とか食べられないときはわたしが作りに行ってあげるというか」
「はぁ?」
ぎゅっと目を瞑った。
なにかキツいことを言われると思って。
でも…。
「蒼花、ここだけの話だよ?
柏原竜は芸能人で、しかも注目の若手俳優。
もっと接近して柏原竜のハートを掴むの!」
「……」
「ねっ?」
予想外の言葉が降りてきて、ほっとした。
「そんなことしないよ。
わたしは小さいときから素敵な恋愛をするのが夢なんだから。
美苑も知ってるでしょ?
三門先輩がぴったり、芸能人との恋愛なんて…わたしが思ってる素敵な恋愛じゃない」
「蒼花さぁ、高校生にもなって、しかも2年生だよ?わたしたち。
それなのにまだ素敵な恋愛なんて望んでるの?」
「だってまだ叶えられてないから…」
なんだか“幼稚”って言われたみたいでこっちも腹が立つ。
そのとき、チャイムが鳴ってわたしたちはそれぞれの教室に戻って行った。
.
最初のコメントを投稿しよう!