いいんじゃねーの、べつに

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  「あ、柏原」 「なに」 「こだまちゃんと仲良しなんでしょ?」 「全然」 「えっ」 このまえ美苑から仲良しだって聞いたのに。 「ドラマで共演したんじゃないの?」 「だからって仲良くなるわけじゃなくね」 「…たしかに。 でもわたし、こだまちゃんのファンなんだ! 仲良くできないかなー」 「無理」 即答すぎてムカッとくるよ。 「じゃあ、とりあえずメアドだけ交換しとこ」 「…」 「あっ、そっか。 柏原は芸能人だから一般人とメアドなんて交換できないか」 「いいんじゃねーの、べつに」 ーー笑った。 初めて、柏原が笑った。 その笑顔は今日の休み時間にみんな見せていた作り笑いとは違って。 バカにするような、ふにゃっとした笑顔で。 …かわいいかも。 「へへっ」 「…」 「メアド、ありがと。 これでご飯とか作ってほしいときは、いつでも連絡できるね」 「俺、あした休むから」 「うえーっ! もうすぐテストなのに?」 「しょうがねーだろ」 「じゃあ、ご飯作っといてあげる。 なにがいい?リクエスト聞くから」 「…」 「ねぇ」 柏原は照れた様子で言った。 「オムライス」 「了解っ!頑張って!」 また、蚊の鳴くような声で。 .
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