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「今日は柏原が休みだな」
本人が言っていた通り、今日は休みだった。
これから月9の…恋人失格、だっけ。
それの撮影が本格的に始まって忙しくなるから学校も休みがちになるんだろう。
やっぱり友達としては寂しいよね。
「栗田!手紙とかよろしくな」
「はいはい」
城崎って本当に声デカいな、とか思いながら本のことも思い出した。
誰か拾ってくれたかな…。
わたしの不安は放課後まで募るばかりだった。
キーンコーンカーンコーン
職員室に柏原の手紙を貰いに行って帰る途中、ふとこんなことを思った。
ーーーわたしも少しずつ、変わってる。
柏原に出会って友達になって。
柏原がわたしに少しずつ心を開いてるのと同じでわたしも少しずつ、変わってるということ。
「蒼花ちゃん」
「…へ?」
「また口がへの字になってるよ」
聞き覚えのあるセリフ。
そう、そこにいたのは三門先輩だ。
「三門先輩…」
「はい、どーぞ」
「あっ!拾ってくださったんですか?」
三門先輩が手に持っていたのは、わたしが探していた本。
「休み時間に落としてたのを見てね。
届けようと思ったんだけど、それもどうかと」
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ」
やっぱりこの笑顔。
あんなふにゃふにゃ笑顔とは大違い。
白馬の三門王子様…!
「それよりさ」
「はい」
そこには、イタズラっ子の顔をした三門先輩がいた。
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