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「ここが商店街ね。
夕飯の買い物とかはみんなここで買ってるよ」
「ふーん」
「お母さんとは一緒に住んでる?それとも1人暮らし?」
「1人暮らし」
「じゃあ、ここに買いに来るんだよ?
あ、でも忙しいか。
だったらわたしがたまにご飯とか作りに行ってあげる、どぉ?」
「おまえ、勝手に話進めすぎ」
「おっ!それなりの会話ができるようになったじゃん、わたしたち」
「なんなんだよ」
一瞬だけ冷っとしたけど、わたしだって簡単に諦めない。
クラスに友達がいないわたしは、柏原と友達になりたいと心のどこかで思っていたのかもしれない。
「忙しいからって、ご飯とか食べてないんじゃないの?」
「うるせーな」
「わたしはっ!城崎に任されたの!
柏原の面倒をよろしく、って!」
「ほんと余計だよな、どいつもこいつも」
その言葉を聞いてわたしのなにかがキレた。
「余計だよなってみんな柏原のために動いてるんだよっ?
城崎もわたしもっ!柏原のためにっ」
「…は?」
しまった、と思い口を抑える。
そんなことしても遅いんだけど。
「ごめん」
「俺、今日は仕事あるから。
もう行くわ、じゃあな」
「ちょっ!柏原!ご飯は食べてよ!」
きっと柏原はこれからも毎日というほど、仕事があると思う。
どうして柏原はあんなに孤独なのだろう。
1人暮らしで寂しいから?
忙しくて、疲れてるから?
転校してきた超美形男子は不思議なことが多い人だった。
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