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希は息を呑んだ。
厭な予感がして堪らないぞ。
時間の数秒が長く感じられた沈黙。
それは再び月明かりが射し込み、女生徒の霊を照らした事で解けた。
「ッ!」
女生徒はいつの間にか希を鬼のような吊り上がった目で睨み付けていたのだ―――――――
―――――手に刃こぼれしたカッターナイフを握って。
希は思わず、いや本能的に危険を察知して後ろへ飛び下がり。
背後に隠していたエア・シャフトの銃口を女生徒の霊に向けた。
「やっぱこうなるって予想はしてたけどッ」
女生徒の霊は体をゆっくりと動かして希に正面を向けた。
そしてカッターナイフを振り上げてこう言った。
『探シ物見ツケタ』
キシッ。
―――――――跳躍。
女生徒の霊は扉の前から一気に希との間合いを詰めてカッターナイフを振り下ろしてくる。
希はそれを何とか紙一重で避けて、女生徒の霊の脇を抜けて後ろへ回り込む。
そう、こう間合いを詰められてはエア・シャフトの狙いを定めれないからだ。
それならッ!!
エア・シャフトを瞬時に左手に持ちかえて、空いた右手で拳を作り、それを女生徒の霊の横腹に叩き込んだ。
『グゥッ!!』
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